室井慎次 生き続ける者(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2
2024年12月05日

室井慎次 生き続ける者(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2024)

※今回の感想は、本作が好きな人は確実に不快になると思うので、読まない方が良いです。

 

 

 

 

室井慎次 生き続ける者

 

2024/日本 上映時間117分

監督:本広克行

脚本:君塚良一

プロデュース:亀山千広

製作:矢延隆生、小川泰、市川南

製作総指揮:臼井裕詞

プロデューサー:梶本圭、上原寿一、古郡真也

撮影:川越一成

照明:加瀬弘行、木村伸

録音:武進

美術:相馬直樹、吉本幸人

美術プロデューサー:福田のり

装飾:田中宏

衣装統括:岡田敦之

ヘアメイク:丸谷亜由美

VFXスーパーバイザー:髙栁優斗

編集:岸野由佳子

音楽:武部聡志

シリーズ音楽:松本晃彦

選曲:藤村義孝

音響効果:大河原将

監督補:三橋利行 

助監督:尾﨑隼樹 

記録:赤星元子 

アソシエイトプロデューサー:大坪加奈

制作担当:武田旭弘 

出演:柳葉敏郎、福本莉子、 齋藤潤、前山くうが、前山こうが、松下洸平、矢本悠馬、丹生明里、松本岳、西村直人、真矢ミキ、筧利夫、飯島直子、小沢仁志、木場勝己、加藤浩次、稲森いずみ、いしだあゆみ、マギー、小泉今日子、織田裕二

声の出演:小野賢章

パンフレット:★★☆(990円/製作者サイドのインタビューは「なんでこんな映画になったのか?」がわかるような気がして、とても良かった。21年前と同じポーズでの写真を並べた観音開きも嫌いじゃない。ネタバレ前提なのも良い。でも、この内容で990円は高い)

(あらすじ)
警察を辞めて故郷の秋田に戻り、事件被害者・加害者家族の支援をしたいという思いから、タカとリクという2人の少年を引き取り、暮らしていた室井慎次。しかし、彼の家のそばで他殺死体が発見され、さらにかつて湾岸所を占拠した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘だという少女・日向杏が現れたことから、穏やかな日常は徐々に変化していく。かつての同僚であり今は秋田県警本部長になっていた新城に頼まれ、警視庁捜査一家の若手刑事・桜とともに捜査に協力することになった室井。そんな彼のもとに、服役を経て出所してきたリクの父親が訪ねてくる。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 

 

3点

 

 

愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション2」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画となったので、10月30日(水)に「前編」となる「室井慎次 敗れざる者」を鑑賞しましてね。こうなったら「後編」にも付き合おうと、11月16日(土)、休日出勤した帰り道、ラーメンを食べてからユナイテッド・シネマとしまえん「十一人の賊軍」を観てから、同劇場でハシゴ鑑賞いたしました。とてもつまらなかったです (´∀`) ナァンダ こんな映画の感想に時間を使いたくないので、短めに書いておきますね。

 

 

観た日のgif。3番スクリーン、観客は30人くらい。帰宅後、ムシャクシャして晩酌をしました。

 

なお、前編の感想はこんな感じでございます。

 

 

とても思い入れがなさげな雰囲気で、雑に本作の内容を書いておきますと。「作業小屋を燃やした犯人」は日向真奈美に洗脳された杏だったけど、猟銃を撃たせたらスムースに改心してました。「室井家の近くで『レインボーブリッジ封鎖事件』の犯人の死体が洋梨と一緒に見つかった件」は、日向真奈美に洗脳された「レインボーブリッジ封鎖事件」犯人たちの仕業でした。出所してきた凜久の父親は息子を引き取っていったものの、暴力を振るわれた凜久が逃げてきたのでいろいろと揉めて、父親は逮捕されてました。その際、犬が逃げたので、雪原を探しているうちに室井は遭難して、死にました。でも、なんだかんだとみんなの心に室井は生き続けているのでしたーー (ノω・、(ノω・、(ノω・、) ムチャシヤガッテ... 最後は青島俊作が室井の家を訪れようとしたところに電話がかかってきて、渋々立ち去ってました。めでたしめでたし。

 

 

「本当は不仲じゃない」としても、新作が作りにくいから室井を殺した…というのは考えすぎでしょうか。

 

 

まず、最初に思ったのは、「レインボーブリッジ封鎖事件」云々の要素、不要じゃねーかと。パンフの関係者インタビューによると、本作の発端は脚本家の君塚良一氏。「青島との約束を守れなかった室井が、贖罪として子どもたちを育てる」「子どもたちは子どもたちで初恋とか、さまざまなドラマがさざ波のように展開する」という地味な内容の20分程度のドラマを数話想定していたそうなんですね。ところが、本広監督が乗ってこないから(倒れて入院するほどやりたくなかったみたい)、いろいろと書いているうちにスケールが大きくなったようですが…。後から付け加えただろう「日向真奈美が計画した事件」が「室井の里親話」とうまく絡んでいないどころか、フタを開けてみれば、「結局、日向真奈美は室井に嫌がらせしたかっただけなの?」レベルの薄っぺら〜い真相だったから、本当に驚きました。

 

つーか、今どきレクター博士っぽいカリスマ犯罪者に洗脳された人間が、リスキーな犯罪を実行してました」なんて話、よく恥ずかしげもなく書けるなと。いや、アクションが売りの映画とかだったらまだ良いですよ。でもさ、一応はシリアス寄りの作品なんですよね、これ? 犯行の動機も内容もあまりにバカバカしいし、室井の「被害者がいる」云々なんてたいして珍しくもない説教で容疑者がほだされたムードになったのは目を疑ったし、最後は警視庁の刑事が訳知り顔で語って事件解決ムードになるから、「なんだこりゃ ( ゚д゚)、ペッ」って。

 

あと、目をつむろうと思ってたんですけど、ごめんなさい、やっぱり警察ドラマとしても嫌いでした。なんかさ、筧利夫さん演じる新城が制帽をわざわざとってから「挙手の敬礼」をしたのは勘違いする人が出そうだから本当にやめてほしいと思ったけど、それはそれとして。秋田県警の本部長になった新城は「室井ができなかったことを秋田でやる」みたいなことを言って、ちょっとカッコよさげでしたが、そもそも秋田を舞台にしてるくせに、秋田県警の刑事が主要キャラで登場しないのってどうなのよ? 私、それが本当に嫌というか、作品として「“現場”を舐めてるんじゃないの?」って。矢本悠馬さん演じる警官(こいつはこいつでマジ不快。どうやって刑事になるかなんて警察学校で習うだろうが。それか所轄の先輩に聞けよ)が刑事目指してるんだったら、秋田の刑事もちゃんと出せよって。

 

「室井の里親話」にしても、私は里親話に弱いからそこはそんなに嫌いではありませんが(汗)、「子どもがいじめられたらしい→室井がアドバイスしたら勇気を出してやり返して問題解決」とか、出てくるエピソードがどれも手垢にまみれた感じというか、「古い」というかさ。例えば、加藤浩次さん演じる「凜久の父親」ですよ。元受刑者の社会復帰の困難さが問題視されている昨今、「過去にDVをしていた元受刑者の父親が『改心した』と言って出所後に子どもを引き取るも、やっぱりDVをして、挙げ句の果てに暴走する」なんて100回ぐらいは観た展開を今どきの新作映画で目撃するとは思わなかったです。「障害を抱えている」という設定にした割に寄り添うような描写はないから、悪質な気すらしましたよ。

 

 

なんとなく貼っておきますね。

 


その他、「室井が何も言わなくても周囲の人間が勝手に察してくれる流れが心底嫌い(これも「古い」と思う)」とか「スマホのゲームで遊んでもOKな小学校、なかなかないのでは…」とか「貴仁の初恋相手、感じ悪い着地で驚いた」とか「凜久の役に双子を起用したのって『過去の自分を眺める』タイプの回想シーンを撮るため?」とか「ラストの遭難、室井を殺すための展開にしか見えなかったし、大物声優を起用したからって無線で『犬が離れない』云々を感情豊かに連呼させるの、マジでウザかった」とかとかとか、まだまだ思うところはありますけど、なんだかんだと文章量が多くなってきたので、割愛! 私、前編の感想で、わざわざ前後編にしたのは、何らかの勝算があってのことだと思うんですよ」なんて書きましたが、それは「『踊る』シリーズのネームバリューで前編は入るし、前編を観たら後編も観てくれるだろ」という映画のクオリティや面白さとは関係ない“勝算”だったんでしょうな (´∀`) ナァンダ

 

最初に立ち上げた企画通り、「BSで放送されるドラマ」だったら許せたと思うけど、私にとってはわざわざ金を払って前後編で観るような価値はない作品でした。もうね、おかしなところが多すぎて、何がおかしいのかわからなくなってくるんですよね…。ただ、「柳葉敏郎さんは頑張って演技されていた +1点」「齋藤潤さんが好き +1点」「ラスト、里子3人で暮らす描写にはなんとなくほだされた(リアリティはないけど) +1点」ということで、3点という評価(今は前編も3点)。2026年に公開される「踊る」シリーズの新作を観に行くつもりはまったくないです(ドニー・イェンとか出ない限りは)。おしまい。

 

 

 

 

キネマ旬報のガイド本を貼っておきますね。

 

 

でも、ドラマは今観ても面白いと思うんですよね。

 

 

本作の元ネタの1つとされるクリント・イーストウッド監督&主演作。名作。

 

 

本作の元ネタの1つとされる黒澤明監督作。そりゃあ名作ですよ。