地獄少女(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2
2020年02月05日

地獄少女(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2020)
地獄少女



2019/日本 上映時間/107分
監督・脚本:白石晃士
原案:わたなべひろし
原作:地獄少女プロジェクト
製作総指揮:久保忠佳、依田巽
製作:堂山昌司、松下智人、小竹里美、宮田昌広
プロデューサー:平田樹彦、山口敏功、内藤和也
アソシエイトプロデューサー:福島聡司
ラインプロデューサー:守田健二
撮影:釘宮慎治
照明:田辺浩
録音:石貝洋
美術:安宅紀史
スタイリスト:中井綾子
ヘアメイク:村木アケミ
装飾:山本直輝
特殊スタイリスト:百武朋
特殊メイク:並河学
編集:張本征治
VFXスーパーバイザー:村上優悦
音響効果:岡瀬晶彦
音楽プロデューサー:中村千枝
音楽:富貴晴美
助監督:山口晃二
スタントコーディネーター:吉田浩之
スクリプター:近藤真智子
キャスティング:北田由利子
製作担当:小川勝美
出演:玉城ティナ、橋本マナミ、楽駆、麿赤兒、森七菜、仁村紗和、大場美奈、森優作、片岡礼子、成田瑛基、藤田富、波岡一喜
パンフレット:★★★★(850円/三宅隆太監督のコラムが素晴らしい! 薄めながらも企画ページもある良いパンフ)
(あらすじ)
「深夜0時に開く秘密のサイト『地獄通信』で依頼すると、地獄少女が現われて恨みを晴らしてくれる」という都市伝説が巷で話題となっていた。女子高生の市川美保は、大好きなアーティスト・魔鬼のライブで知り合った南條遥に魅了され、彼女と一緒に魔鬼ライブのコーラスのオーディションを受けることに。合格したのは遥だったが、彼女は徐々に様子がおかしくなっていく。そんな遥を心配した美保は、魔鬼が遥をライブで行う「儀式」の生け贄にしようとしていることを知り、噂のサイトにアクセスするが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


先週、同じ日に観た2本の映画の感想をアップしたので、なんとなく残りの1本である本作の感想をアッサリめに更新しておきますよ。評判の良いアニメ版にはあまり興味がなかったんですけど、大好きな白石晃士監督作ということで、これは観ておかねばと思いましてね。とはいえ、仕事やら何やらでバタバタしてしまって、せっかくパンフだけは買っておいたのに、気が付けば都内の上映はすっかり終了していた…ということで! 1月29日(水)、あつぎのえいがかんkikiにて、水曜サービスデーを利用して、「フリーソロ」と連続で鑑賞いたしました(その後、「EXIT イグジット」をハシゴ)。楽しかったです (´∀`) タノシー


1月29日のgif。3作品とも1番スクリーンで鑑賞。観客は4人でしたよ。



最初にあらすじを雑に書いておくと、映画は「“胡散臭いルポライター”工藤仁(波岡一喜)の母親が1965年の学生時代に体験した出来事→現代でその母親が恐怖顔で死んでいる場面」からスタート。で、“人気アーティスト”魔鬼(藤田富)のコーラスに参加予定だった“インディーズアイドル”御厨早苗(大場美奈)が“クズ野郎”長岡拓郎(森優作)に襲われて顔を負傷する事件が起こり、早苗は「深夜0時に開く秘密のサイト『地獄通信』で依頼すると、地獄少女が恨みを晴らしてくれる(ただし、依頼者も死後に地獄行き確定)」という都市伝説を信じて地獄少女と契約→長岡は地獄に落ちるのです (`∀´) ザマァ! ただし、それを早苗が“長岡の母親”長岡雅子(片岡礼子)に伝えると、今度は雅子が地獄少女と契約→早苗も地獄に落ちるという因果応報なオチになるというね…(雅子は早苗の両親にそのことを伝えると自殺)。


最初に、工藤の母親が体験する“昭和の事件”がチュートリアル的に描かれまして。


で、工藤仁が「地獄少女」についての記事を書くと、ネットで読んだ早苗が依頼してしまうのでした。



そして、“友だちがいない女子高生”市川美保(森七菜)は魔鬼の大ファンなんですが、ライブ中に痴漢される→“やさぐれガール”南條遥(仁村紗和)に助けられる→彼女と友情を築くものの、魔鬼のコーラスのオーディションに合格した遥がクスリ漬け&洗脳されてしまい、友情がアッサリと壊れまして。さらに、遥がライブで行われる「儀式」の生け贄にされることを知る&魔鬼を探っていた工藤が殺されると、美保ったら地獄少女と契約→魔鬼は地獄に落ちるのです (`∀´) ザマァ! 結果、遥の命は救われる&友情も復活するも、死後、地獄に落ちることが確定済みの美保は、思いっきりボンヤリ顔なのでしたーー 川°Д°)(ノω・、し ミホ、ゴメンネ...


美保と遥は仲良しだったんですが…。


魔鬼のせいで友情が壊れてしまうのです (`Δ´;) オノレ...



美保が契約する場面の動画を貼っておきますね↓




いや〜、良く出来てたんじゃないでしょうか。元のアニメも白石監督もいわゆる「必殺」シリーズを意識したそうで、もともとその手の話が好きというのもありますが、さすがは白石監督というか、全体的にジャンル映画としてキッチリしているという印象。例えば、オープニングで「昭和の事件」を描くことで、「地獄少女に依頼をすると、恨みは晴らしてくれるものの、自分も地獄に落ちる」という本作のシステムを手際よくわかりやすく紹介しているあたり、オーソドックスかつ丁寧だなぁと。

僕的には「依頼すると、少しだけ地獄を体験できる」(その上で依頼するかどうかを聞かれる)という要素に「意外と親切だな!Σ(゚д゚)」と感心したんですけど、本作を観た後に“「UTAMARU-NEXT」の付き合いで加入したU-NEXT”にてアニメ版をチェックしたら、映画オリジナルみたいでしてね。そんな“お試し地獄”でもちゃんと悲惨な目に遭う→それでも恨みを晴らすことを選ぶことの覚悟が強調されるし(特に自分が虫にされる地獄は絶対無理だと思った…)、ホラー映画的に「地獄でいろいろな人が酷い目に遭う描写」がキモ→そのシーンを増やすという意味でも、非常に良い改変だと思いましたね (°∀°)b ナイス!


アニメとのコラボ映像を貼っておきますね↓




本作に出てくる「地獄少女絡みの事件」は3つなんですけど、ルポライターの工藤仁というキャラクターを入れることで、緩やかな“1本の軸”を作っていたのも良かった(同じような構成の「不能犯」より上手くいってたと思う)。あと、本作のコミック版は「なかよし」で連載されていたワケで。正直なところ、47歳のオッサンが観ると、それこそ劇中で言われる「人を呪わば穴二つ」じゃありませんが、「気持ちはわかるけど、憎悪に囚われないで前に進んだ方がいいんじゃないかな… (´Д`;)」とスゲー思うんですよね(そういう話だから仕方ないんですが、真面目に考えると「未成年にそんな手段を与えちゃダメだろ」とも思うし)。ただ、アウトローっぽい工藤が早苗の契約を止めようとしたりと、ちゃんと大人の観客が思うことをキャラが代弁してくれるのが好きでしたよ。特に、御厨早苗の両親が言う「あなた、哀れな人ですよ」「子どもが消えた者同士じゃないですか」といった台詞は、死に際の長岡雅子に「偽善者」呼ばわりされてましたが(汗)、でも、本当にそういうものなんじゃないかと思ったり、思わなかったり (・ε・) ドッチダヨ


白石監督作のキーとなる男「工藤」を演じたのは波岡一喜さん。この人、スゲー良い役者さんですよね。



その他、思ったところを書いておくと、「麿赤兒さん、暗黒舞踏っぽいと思った」とか「女子高生があんな週刊誌の記事は読まないだろ」とか「魔鬼役が『仮面ライダーアマゾンズ』の藤田富さんだったのはテンションが上がった!」とか「音楽は劇中歌を含めて良かった!」とか「痴漢を過剰にボコボコにする遥が素敵」とか「加害者から被害者に宛てた手紙に目を通さない弁護士はダメだろ」とか「違法薬物描写が安い…」とか「美保がオーディションに受かって遥との仲が険悪になるのかと思ってドキドキしたけど、そんなことなかったぜ(監督のミスリード?)」とか「三藁たちが何なのかサッパリわからなかったけど、『ヘルレイザー』の魔道士っぽくて良かった(監督も意識したそうな)」とか「パンフ、三宅隆太監督のコラム「恐怖する者と恐怖させる者 ホラーに於ける『美女の役割』と『地獄少女』の特異性」が素晴らしいし、企画ページも良いし、最後の場面の写真を巻末に入れる構成も良いし(やんわりとしたネタバレ)、松竹事業部はさすが!」とかとかとか。

もうね、役者さんたちは全員良かったんですが(玉城ティナさんは常人離れした美人なだけに、ああいう異世界キャラが似合うのでは)、僕的に褒めたいのは森優作さん! 彼が演じた長岡拓郎が起こす事件は「AKB48握手会傷害事件」などを想起させるワケですが、ほとばしるほどムカつく演技をされてましてね…(しみじみ)。ところが、地獄送りにされる場面では必死に見苦しく命乞いをしてくれるから、超スッキりす (・∀・) スッキリ! ああいう役ってイヤかもしれませんけど、本当に良い仕事をされたんじゃないでしょうか。


早苗に嫌がらせの手紙を送ってご満悦な長岡。観客的にはムカつきすぎて脳がダメになりそうになるものの…。


地獄送りでは見事な見苦しさを披露してくれるから、驚くほど爽快な気分になれるのです (o^-')b ヤッタネ!


僕はすっかりこの徳川光成のような顔になってましたよ(「グラップラー刃牙」より)。



そんなワケで、非常に面白いジャンル映画であり、白石晃士監督にはもっとこんな感じの作品を撮ってほしいと強く思ったりしたんですが、しかし。正直なところ、僕は「いっぺん、死んでみる?」がどれほどキャッチーかつ優れたフレーズだろうとも「地獄へ落ちろ〜!」派なので70点というよくわからない着地。「誰か『ブラック・エンジェルズ』をリアル寄りに再構築して実写化してくれないかなぁ… (・ε・) プー」なんて願望を唐突に書いて、この駄文を終えたいと思います。


大好きな松田鏡二さんを貼っておきますね(「ブラック・エンジェルズ」より)。



おしまい。




劇中歌を集めたアルバム。ちょっとほしい。



ちょっと思い出した白石晃士監督作。僕の感想はこんな感じ。



白石監督が意識したという作品、その1。魔道士たちを参考にしたそうな (´∀`) ワカルー



白石監督が意識したという作品、その2。全体的に意識したそうな。



「なかよし」で連載されていたというコミック版。面白そうです。



大人気のアニメ版。現時点で4シリーズも作られているそうな。



実写ドラマ版。これはこれで悪くなさそうな気がしないでもない。



僕的には、頼まなくてもクズを勝手に制裁してくれる「地獄おじさん」の方が好きカナー。特に「2」が。