宝物の抱きかた(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2
2018年10月06日

宝物の抱きかた(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2018)
宝物の抱きかた



2017/日本 上映時間84分
監督・原案:榎本桜
脚本:村上秀樹
撮影監督:柳田慎太郎
撮影:韓愈
照明:豊川祐輔
録音:川崎岳
美術・衣装・小道具:酒井千寿
音響効果・MA:鈴木宗寿
編集:井上明裕
編集協力:伊藤拓也
劇場版編集:片元亮
音楽:山崎康平
助監督:服部無双
制作:長尾和紀
制作協力:牛丸亮
出演:榎本桜、長山浩巳、坂川使音、結城さなえ、牛丸亮、遠山雄、岡田孝志、七海なな、剣持直明、塚本一郎、日下有、相元晴名、冨永金司、藤本蒼太、藤本茜、藤本楓
パンフレット:★★★(700円/デザインが素敵。主演2人の対談が面白かった)
(あらすじ)
実家の家業を継いだ兄のもとに、5歳の子どもを連れた弟が10年ぶりに帰ってくる。幼い頃に両親を亡くし、兄は両親を覚えているが、幼かった弟は父親のことしか記憶がない。一生懸命、ちゃんとしなくてはダメだという兄と、好きなことをできない大人になることから逃げてきた弟。2人の間にはさまざまな摩擦が生じるが、突然訪れた子どもとの出会いが、2人の間の緊張を徐々にほぐしていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※この記事は、映画の内容とは関係のない文章がダラッと書かれているので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。

9月頭、映画仲間のはちごろうさんに「三角絞めさんは幅広く映画を観てますよね (´∀`)」みたいなことを言われて、結構ショックだった…なんてことを「モリのいる場所」の感想で書いたんですけれども。とは言え、真面目な文章を書くと、「たまたま観る機会が巡ってきた映画をなんとなく観る」という行為は、新たな知見をもたらしてくれるような気がしてまして。「この世で一番肝心なのは素敵なタイミング♪ (o^-')b」という歌を愛していたりもするので、基本的には偏ったジャンルの作品ばかり観ていたいものの、“何らかのタイミング”が合った時は、どんなに自分の好みとは違う作品でも、つい観てしまうんですよね…。

で、9月下旬某日のこと。「いつも月夜に米の飯」を鑑賞後、そのコラボフードを出している新宿三丁目の「Bar DUDE」に足を運んでみたら、モロに映画好きが集まるお店でして。カウンター席に座って、隣のお客さんと話しながら、美味い酒と食事に舌つづみをYOSHIKI並みに連打していたところ、「このお店のマスターが出演している」ということで、本作の前売り券(1500円)が販売されてましてね。酔いも手伝って、「ぜひ観に行きますよぉ〜 (´∀`=)」と調子に乗って購入したものの、翌日に即後悔(失礼な文章)。ただでさえ観たい映画がたくさんある現在、こんなインディーズ映画を観に行くヒマなんてないんだよなぁ…。でも、お金をムダにするのは何よりもイヤなので、今週水曜日、吉祥寺のココマルシアターで観てきたんですが、予想外にとても良かったです (・∀・) ヨカッタ! アッサリめに感想を残しておきますね。


「Bar DUDE」のコラボフード、恐ろしく美味くて、つくねは4本も食べました。


吉祥寺のココマルシアターに来るのは初めて。劇場入口では関係者がビラを配ってました。


劇場はかなり狭め。予備の椅子が並べられるほどの満席だったり。



あらすじを乱暴に書いておくと、兄・透のもとに弟・直也が数年ぶりに帰宅したと思ったら、5歳児のゆうきを連れていて。「奥さんが出て行って、子どもだけが残った ( ゚д゚)」みたいなことを聞かされるも、そもそも透は直也が結婚したこと自体知らなかったため、「まぁ…そうなんだ… (`Δ´;)」と釈然としないながらも2人を受け入れて、一緒に日々を過ごしてみれば、弁護士がやってきましてね。なんと「お世話になった先輩が死亡→その奥さんが息子のゆうきをネグレクト→勝手に連れてきた」ことが判明するのです。ただ、奥さんは海より深く反省しているし、子どものためにも良くないということで、直也はゆうきを奥さんに返しまして。ちょっと寂しいものの、兄弟の仲は前よりも深まった…ってなムードで終わってましたよ、確か。


ちなみに上映後には監督&劇団チキンハートの人たちのトークショーがあったというね。



ごめんなさい、未熟なところが目立つ作品だとは思うんですよ。上映後のトークショーでの発言によると、「監督・主演の榎本桜さんのお母さんが現場のご飯を作った」級の低予算映画ですから、あまり不満を書くのも詮無きことではありながらも、「もう少しどうにかできなかったか」と思うところがなくはないというか。特に気になったところを書くと、終盤、ゆうきを母親に返すことを決めてから過ごした「最後の日」の撮影や演出はもう少し美しく見せてほしかったし、兄弟がお互いの本音を吐露するシーンの「でも今は違う」の台詞は余計だと思ったし…(あの台詞がなくても、ラストの縁側の2人を観るだけで「今は違う」のが観客にはわかるのに)。普段、こういうことにはあまり気付かない僕ですけど、音の編集があまり良くないと思ったりもしましたよ。

ただ、観ている間、まったく飽きなかったのは、「あの5歳児は本当に直也の子どもなのか?」という謎に引っ張られるだけでなく、主演2人の演技がスゲー良かったから。榎本桜監督には実際に兄弟がいるそうですが、「なるほどなぁ」と。僕は「姉2人の3人姉弟の末っ子」なので、本当にああいう風なのかはわかりませんけど、先日、練馬にある和酒のお店「か和もっち」で飲んだ時にオーナーのかわもっちさんの弟さんが来店→その時の2人の雰囲気にスゲー似てまして。「兄弟ってこんな感じなのかな」と思わせるリアルな空気に感心したんですよね。現実世界でいがみ合う兄弟を散々目撃してきたから、無闇に兄弟を美化することはありませんけど(苦笑)、劇中の“あの空気”にはちょっと憧れたというか。なんかね、「あの2人…うらやましいなァ… (´∀`)」と思わせられた次第。


本作を鑑賞中の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。



その他、本作は主演の榎本桜さんや長山浩巳さん以外の役者さんも芸達者感があって。これはインディーズ系の映画を観た時の「あるある」なんですが、「世の中には上手い無名の役者さんたちがたくさんいるんだな」と。子どもを勝手に連れ出した直也や、ネグレクトしていた母親を糾弾せずにそれとなく赦す優しい着地も嫌いじゃなくて、鑑賞後は「良い映画を観た!m9`Д´) ビシッ」という気分になりましたよ。まぁ、ここは基本的に「シラット使いが刃物を駆使してエイリアンを惨殺する映画」などを好むブログですけれども、たまにはこういうのを観るのも良いな、なんてね、あらためて思いました。トークショーによると、最初は公開させてくれる劇場が全然見つからなくて、なんとかココマルシアターで上映させてもらったら、1週間だけだった予定が現時点で3週間に延びるほど好評だったりするということで、気になる人はチェックしてみると良いザンス。


パンフに監督&出演者のサインをもらっちゃいましたよ (´∀`) アリガタイ



おしまい。




「兄弟」系でもかなり違う作品。僕の感想はこんな感じ



「子ども連れ去り」系でもかなり違う作品。僕の感想はこんな感じ